中学生が不登校や登校渋り。どうする?元教員に聞いてみた。

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 もしも中学生の自分の子が不登校や登校渋りになったら、どうすればいいんだろう。学校はどう対応してくれるんだろう。授業や勉強の遅れが不安。将来や就職に関しても心配。元中学校教師にどうすればいいのか聞いてみました。

不登校や登校渋りの原因は?

 中学生になると、幼稚園や小学生の頃とは違う理由で不登校になることが多いです。大きくわけて2つの原因にわかれます。

①人間関係

 中学生といえば多感な時期で、人目をとても気にする時期です。人間関係のトラブルといえば一番に考えるのはいじめです。ただ、最近は昔と違って直接のいじめは減りました。以前と違って比べものにならないほど増えたのがSNSなどによるいじめです。なかなか本人は話してくれることが少ないので、登校渋りがあったら、担任の先生や仲の良い友達(その保護者)などに何か変わったことがなかったか聞いてみましょう。今はいじめ対応などに担任だけで取り組むことは少ないので、もみ消されたりする心配も少ないと思います。それでも対応に困ったら、学年主任や教頭、校長にも伝えてみましょう。

 また、いじめだけでなく、何か恥ずかしい失敗をしてしまった。好きな子に嫌われてしまった。仲が良い子と喧嘩をしてしまった。部活の先輩が怖い。といった人間関係のトラブルによる登校渋りも多くありました。こういった原因も担任や顧問の先生に積極的に伝えてみてください。

②勉強(受験)への不安

 これも多いのですが、中学生になると授業の内容についていけないということが多くあります。内容が理解できない授業で50分間座っていなければいけない、それが1日6時間もあると考えると学校に行くのが嫌になる気持ちもわかります。その結果、不登校になり更に勉強についていけなくなる・・・という負のスパイラルに陥りがちです。すぐに解決するのはなかなか難しいのですが、子どもが授業についていけていないなと感じたら、これも学校の先生にぜひ伝えてみてください。自治体にもよりますが、現在はメインで授業を行う先生とは別にアシスタントティーチャーやサポートティーチャーと呼ばれる方が、教室に一緒に入ってくれることがあります。その方たちに事前に授業についていけないことを伝えておけば、重点的にサポートしてくれることがあります。わからないことがあっても、なかなか授業を進めている先生には質問はしづらいと思いますが、アシスタントの方だったら聞きやすいと思いますので、まずは三者面談等をつかって担任の先生に相談しておくといいでしょう。

不登校になってしまった時の学校の対応

 もしも不登校になってしまった時に、学校はどのように対応してくれるのでしょうか。

 いじめや人間関係のトラブルの場合、できるかぎりの対応はしてくれるかと思います。先ほども述べたように担任が対応してくれなければ学年主任、教頭、校長、それでもだめなら今は教育委員会といった手もあります。相手の生徒への指導、相手の保護者への連絡、学校での見守り体制などの見直し等でしょうか。ただし、残念ながら学校の先生は警察ではありませんので、できることは限られています。よほどの証拠がないかぎり、加害者側の生徒や保護者が「やっていない」と言い張ってしまえば、それを覆すことはできません。指紋採取や嘘発見器などを使うことはできません。直接相手の生徒や保護者に会いたいと言えば、学校側がその場所をつくってくれることもありますが、それでも認めないこともあります。そうした場合でも学校での見守り体制(休み時間等でもできるかぎり大人の目が届くようにしたり、今後の接触をできるかぎり減らす(クラス替えの配慮等)こと)は整えてくれますが、解決しないまま今後の学校生活を送ることもあります。

 また、勉強についていけず、教室に入ることを頑なに拒否する生徒もいます。そんな生徒のために、学校では別室登校をすることも可能です。保健室に登校することも可能ですが、最近では、相談室や学習室といった不登校の生徒が学校で勉強することができる教室が自治体によっては準備されていることもあります。ただし、基本的には自習となります。わからないことは聞いたり、授業がない先生(空コマ)の先生が教えにきてくれたりすることもありますが、問題集等を自分で解くことになります。それでも勉強する生活リズムは整いますし、空いている時には技術室や家庭科室等が使えることもあるので、家で一人でいるよりはずっと良いかと思います。自治体によっては給食を食べる事も可能です。

 別室でも学校に行くのを嫌がる生徒もたくさんいます。その場合、多くの学校では週に数回、家庭訪問をしてくれて、プリントや学校であったことの報告をしてくれることがあります。が、基本的に学校でしてくれるのはここまでです。

 今後どうすればいいのかわからないときに相談を受けてくれる制度もあります。これも自治体によりけりですが、各校には相談員と呼ばれる人が先生とは別にいて、今後について一緒に考えてくれることがあります。また、スクールカウンセラーが来校することもあります。より専門的に今後のことについて教えてくれます。また、各教育委員会では教育相談室と言って、不登校の生徒や保護者の相談を受け付けている場合があります。困ったことがあれば、まずは相談してみましょう。

今後気を付けていきたいこと

 長期の不登校にならないために大切なことがあります。初期対応がとても大切です。

①普段と違う様子があれば、すぐに聞いてみる。

 学校に行くのを嫌がったり、いつもより準備に時間がかかった時には何かあったか聞いてみましょう。本人は話してくれないかもしれませんが、電話で担任の先生に聞いてもいいかもしれません。何があったか把握していなくても、より気を付けて様子を見てくれるようになります。

②強く登校を渋ったら無理に家を出さない

 あまりにも無理やり家を出すと、そのまま失踪したり、学校がより嫌な場所になることがあります。昔、ある生徒が登校を渋った時にその保護者の方は1日会社を休んで、釣りに連れて行ってくれました。家で一人でもやもや考えさせるよりも、1日だけ学校を休んでリフレッシュし、次の日からは行く約束をしたそうです。なかなか会社を休むことは難しいと思いますが、1日は休ませて、次の日からは行こうねというスタンスも大切かなと思います。ただし、3日連続で休むと学校に行きづらくなってしまうと言われています。

③成績や進路について過度なプレッシャーを与えない

 将来を考えると、良い進路を選ぶことはもちろん重要です。ただし、それが本人の希望や能力と合致しているかどうかの見極めが大切です。とにかく大事なのは本人とよく話し合うことですね。

④不登校になってしまった場合でも、学校に通う生活リズムをつけておく

 クラス替えやふとしたことから再び通い始めることができる生徒もたくさんいます。なので、別室登校をはじめ、学校に行く習慣だけはつけておきましょう。みんながいる時間が厳しいのであれば、家庭訪問してもらうのではなく、夕方等、自分でプリント等を取りに行くというのも一つの方法ですね。

⑤一人で抱え込まず誰かに相談する

 さきほど紹介した通り、相談先はたくさんあります。なにかあったときはまずは身近なところから相談してみましょう。

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